赤潮(あかしお)の正体は?

 プランクトン
赤潮は、ある種のプランクトンが異常に大量にふえたときにおこります。では、プランクトンというのは、どんな生物なのでしょう。
 プランクトンとは、あるきまった種類の生物をさすのではありません。水中にただよって生活している生物をまとめて、プランクトンといっています。
たくさんの種類がありますが、植物と動物とに大きくわけられます。赤潮をひきおこすのは、おもに植物プランクトンのなかまです。
 植物プランクトンは、太陽の光がとどく、海面ちかくに多く見られます。植物プランクトンは、陸上の植物とおなじように、動物のえさとなり、海の生命全体をささえています。

 赤潮と生物
 赤潮が発生すると、どんなことがおこるのでしょうか。
 プランクトンが死ぬと、海水中にすむバクテリアがそれを分解します。そのときに海水中の酸素ガスをつかいます。大量のプランクトンが一度に死んだ場合、バクテリアがそれを分解するために大量の酸素ガスをつかい、海水中の酸素ガスが不足する現象がおこります。そのために魚がたくさん死ぬことがあります。
 なかには、有害物をだすプランクトンもあります。そのプランクトンを食べた貝に毒がたまって、その貝を食べた人間が中毒をおこす場合もあります。

 植物プランクトンがふえる条件
 植物プランクトンは、太陽を光を利用し、海水中にとけこんでいる二酸化炭素や、ちっ素やリンなどの栄養分を吸収してふえます。
 このため、たくさんの栄養分、適度な水温・塩分、じゅうぶんな太陽の光などが、植物プランクトンがふえる条件です。
 これらの条件が、そのプランクトンにあった状態になり、なにかがきっかけとなって、そのプランクトンはとつぜん大量にふえるのです。
 赤潮をひきおこすプランクトンの種類によって、海水は茶かっ色、黄かっ色、緑色などにかわります。

出典:環境をまもるD海・小峰書店(1998年)