公害病(こうがいびょう)とは?

 第二次世界大戦の敗戦後、国の復興(ふっこう)をめざしてたくさんの産業が生まれました。しかしいっぽうでは、下水道などの公共施設(こうきょうしせつ)の整備(せいび)が立ちおくれ、大気汚染(たいきおせん)や水質汚濁(すいしつおだく)などによる被害(ひがい)が各地で発生しました。これを「公害(こうがい)」といいます。

 公害は人びとの健康に影響(えいきょう)をおよぼし、各地に原因不明(げんいんふめい)の病気をひきおこしました。この病気を「公害病(こうがいびょう)」といいます。窒素肥料(ちっそひりょう)工場の排水(はいすい)にまじっていた有機水銀(ゆうきすいぎん)が原因でおきた水俣病(みなまたびょう)(熊本県水俣市、新潟県)や、鉱山(こうざん)の排水(はいすい)にまじっていたカドミウムが原因になったイタイイタイ病(富山県)、工場からはきだされるばい煙によるぜんそく(三重県四日市市)などが有名です。

 公害から健康をまもるために、1967年に公害対策基本法(こうがいたいさくきほんほう)が制定(せいてい)され、排水やばい煙、騒音(そうおん)、悪臭(あくしゅう)などに、きびしいきじゅんがつくられました。


出典:『環境ことば事典C「健康とエコライフ」』 七尾 純・著
  2002.1.30・発行 大日本図書株式会社