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環境基礎講座2023第2回「四日市公害判決50年を経て」報告
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【日時】令和5年6月10日(土)13:45~16:30
【場所】サン・ワーク津
【講師】① 第一講:朴 恵淑 氏(三重大学客員教授)
② 第二講:伊藤 三男 氏(四日市再生「公害市民塾」代表)
【参加人数】①24人 ②24人
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第一講では、「四日市公害の歴史・教訓を未来へつなぐ「四日市学」」というテーマで、三重大学の朴恵淑さんにお話をいただきました。四日市公害の研究をするため、三重大学に来た朴さんは、四日市公害はローカルであるが、グローバルにつながるものであると力説されました。先人たちが悲惨な公害に対して様々な努力を積んで環境を回復させたことは、私たちが「SDGsは我々に学んでほしい」といえる立場にあり、今後これらの経験をどう生かすかが重要であると説明されました。また、脱炭素社会においても、三重はレジ袋ゼロコンビニを全国に先駆けて実施しており、県下のレジ袋の無料配布の中止も全国の有料化に先駆けて成功しているという点も三重モデルとして誇れるものであるとのことでした。
第二講のテーマは「四日市公害に対する取り組み」でした。講師は四日市再生「公害市民塾」代表の伊藤三男さんです。伊藤さんは50年以上四日市公害とかかわり、市民の立場から活動してきました。今回は、四日市にコンビナートが作られた経緯から始め、公害被害のある学校や地域の様子や、裁判と判決後の経過や残された課題についてお話しされました。現在、四日市公害を経験された3名の語り部の方が亡くなり、未来に四日市公害を伝えていくために、出版活動なども行っています。
質疑応答では、「レジ袋をなくして、どれだけ排出される二酸化炭素が減ったのか検証されているのか」、「公害とコンビナート(公害の被害と経済効果)の関係で、地域内や家族内で対立することはなかったのか」、「公害が出始めて、学校教育の場で科学的に公害を教育する動きはなかったのか」などの質問がありました。公害をめぐる動きや対策は、行ったり来たりの繰り返しで進んでいても、話し合いを続け、「やる」という意思表明が大切であり、とくにトップダウンがうまくいかないときは市民からのボトムアップが大切であると講師の方からお話しがありました。
過去の負の遺産を未来の正の遺産に変え、それをこの先もずっと未来志向で伝え、今後の様々な課題に「産官学民」で話し合いを続けてチャレンジすることが大切だと感じました。
【報告:東】